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2015年06月30日

フレット擦り合わせについて

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フレットの擦り合わせ作業

最近、擦り合わせ初体験というお客様が多いので考えてみます。

擦り合わせを体験した事のないほぼ100%の人が、擦り合わせでフレットを削るという行為を恐れています。
擦り合わせの目的の前に、なぜ擦り合せが恐怖なのかを考えたいと思います。

確かに、恐いですよね。。。
特にギター弾きは、チョーキングやビブラートを多用することから、フレットを削る事で弾きにくくなってしまうのではないかと…

なかには、擦り合わせ作業はきっちりやらなくて良いので、フレットの高さは残して欲しいと言う方もいらっしゃいます。(ただ、そういった作業はお断りさせてもらっちゃいますが...)
それでは費用だけかかって、擦り合せをする意味がないですね。
しかし、作業の精度以上にフレットの高さの方が、ギター弾きにとってそれだけ重要なのだということだと思います。

僕もギター弾きです。
なので、ギター弾きの気持ちはまぁわかります。

では、弾きにくくなるとはどういう事か?
なぜフレットに高さが必要なのか?を考えてみます。

好みもありますが、僕は、フレットにある程度の高さがあった方が、指板との距離・摩擦の関係から良いと思っています。

では、フレットに必要な高さとは何かを考えてみます。

それは、上記の距離・摩擦の問題になってくる気がします。
特にギター。

極端にフレットが低くなると、弾いた際、弦がフレットに当たる前に、まず指先が指板に当たります。そして、弦をフレットに当てるために更に力を入れて押さえます。結果、弦が大きく指に食い込みます。
この無駄な力を生むのが、フレットの低さの問題の一つです。
そして、次に摩擦です。
前述の理由から、指と指板が大きく触れる事で生まれる摩擦はチョーキングする際に、逆の方向への力を生み、またしても余分な力を必要とさせます。
ビブラートも同様だと思います。

つまり、指の皮が硬くカサカサの乾燥肌の人の方が、指に弦が食い込みにくく、摩擦も少ないので、低いフレットにも割かし対応出来るのかもしれません。

逆に、柔らかいプニプ二の指先には、上記の問題を考えると低いフレットは不向きかもですねぇ。

まぁ前述のような問題が、弾きにくさに繋がると思います。

つまりは、弾く人にとって必要な高ささえ稼げていれば、問題はないということの様な気もします。

次に、擦り合わせのされていない状態の楽器について考えます。

擦り合わせ未経験の多くの方の楽器が、大なり小なり不揃いのフレット・すり減ったフレット・曇ったフレットを有していると思います。

不揃い・すり減ったフレットは、特定のポジションでのビビリ・音詰まりの原因や、弦高の不均等さを誘発させてしまいます。
結果、低めの弦高でのセッティングが出来なくなってしまいます。
もちろん、各フレット上での音程も合わなくなってしまいます。これでは、せっかくのバズフェイトンシステムもサークルフレッテイングも、効果を発揮出来ません。
精度の良いチューナーできっちり開放弦を合わせても、指板上を弾いたとたん音程はズレ始めます。
当然、流行のポリフォニックチューナーを使っても、同様の結果です。
そして、しっかり調整したオクターブチューニングも、効果を発揮出来ません。
また、曇ったフレットはその摩擦により、チョーキング・ビブラートの障害になります。
また、摩擦により、更に弦やフレットの傷み・減りを進行させていきます。

しかし、その多くは、徐々に進行していく変化のためか、感覚がなれてしまい、大した症状に感じない人が多いようです。(購入時からある不揃いのフレットも、その楽器のクセだと考え、ビビリを気にしない人も意外に多いようですね。)

音を気にするであろうプレーヤーの多くが、実は、音(音程)をあまり気にされていないで弾いているということでもあると思います。
そして、バズフェイトンなどの必要性に疑問が出てしまう結果でもあると思います。(僕個人の意見です。)
ハイパワーのピックアップへ交換しても、ズレた音程を増幅させるだけしか出来ません。
分離の良いクリアな音質のピックアップにも、不安定な響きをなおす事は出来ません。
綺麗に並んだフレットがあって初めて、材・パーツ類の効果が現れると思います。

ただ、フレット擦り合わせと言う作業が、上記悪い部分を取り除く手段の1つだと分かると、作業の必要性や僕が奨める理由が、少し分かってもらえるかと思います。

最後に、ちょっと作業について。
擦り合わせ作業は、作業するお店・作業の仕方・作業する人によって、仕上がりの精度・結果が全く変わってきてしまいます。(これは、他の多くのリペア作業にも言える事だと思います。)
実際に、作業方法自体は幾通りも存在します。
そして、その数だけ精度のバラツキも存在してしまっています。

もちろん、作業する人の細かな作業内容の違い・クセ・考え方の違い、また、極端な話ローポジだけを削る人、ハイポジだけを削る人、全体を均等に削る人などなどがあり、大きく精度・結果に影響してしまっているようです。
僕はギター弾きということもあり、ギター弾きが使いそうなポジションや、高さが必要と考えるポジションの高さは出来るだけ残した上で、綺麗な直線に仕上げたいと思っています。(すり減り度合いや状況により、絶対ではないですが。)

これは、技術的な問題ではなく、リペアする人が、どれだけプレーヤーの目線・感覚になれるかの問題かと思います。
楽器をあまり弾かない、または精度のみを考える技術者などは、プレーヤーの欲しいポジションを平気で削り、不必要なポジションの高さを残すようなことをしてしまうかもしれません。

技術だけでは完成しない楽器の面白さが、そういった作業の違いの中にもあるような気がします。

別の機会に、また擦り合わせ効果については書いてみたいと思います。
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2015年06月29日

フレット擦り合わせ

このPRSも、最近多い フレット擦り合わせ“初体験” というお客様のギター。作業終了し、予定通り明日のお渡しが出来そうです。本日も営業終了ぉ:)ちょっとギター弾いてから帰ろ〜 

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2015年06月28日

フレット擦り合わせ

MOMOSE STタイプ フレットの固定をやり直してから、擦り合わせ・ナット交換。明日にはお渡しできそうで〜す。

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フレット擦り合わせ・ナット交換

毎日ギターの練習をされており、中でもこのPRSはお気に入りという事で、翌日には作業完了し、お渡しが出来るように対応させていただきました。フレット擦り合わせと牛骨ナットへの交換という内容です。

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2015年06月27日

フレット擦り合わせ・ナット交換

I'm doing fret leveling and replacing the nut for vintage Fender Tele.
ビンテージTeleの、フレット擦り合わせとナット交換作業です。


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2015年06月26日

フレット擦り合わせ・ブリッジ周りの調整

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What nice vomit!! lol
I'm gonna do fret leveling and then adjust the bridge.
James Tylerの、フレット擦り合わせとブリッジ周りの調整をします。
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ナット交換の時期

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ナット交換の時期

ナットは、消耗品であるということ、更には、楽器店に並んでいる新品状態で、ナットにある種の不良があるギター・ベースが意外にも多いという認識はあまりされてされていないようです。

消耗については、弦交換・チョーキング・アーミングなどにより、弦がナットの溝内で前後するのが原因だったり、また、ギターを倒したり、ナット部をぶつけたりしたことで、溝の高さが低くなってしまうこともあります。
中でもアーミングという行為は、ナットの溝内で大きく弦を前後させるので、ナット溝の減りも早いです。

また、新品状態の楽器でのナット不良については、ナット溝の高さ・幅・間隔・角度・溝の形状不良などが見られます。(フレットに関しても、新品時の不良は良くありますが、それはまたの機会に書くことにします。)

溝の高さが高いと、主にローポジションでの押さえにくさ・音程がシャープしてしまう原因に。また、弦高を下げたいのにブリッジを下げるとビビり音が出てしまう…などの原因になったりします。

溝の幅・溝の形状不良は、チューニングの安定性や、ナット部での不要な共振の原因になります。
トレモロアームを使う人は、特に重要な部分だと思います。
溝の幅は、弦に対して、適正な幅でなければなりません。厳密には、弦のゲージを変えたら、ナットも調整する必要がある場合もあると思います。
実際自分は、09からのゲージの弦と、10からのゲージの弦を使うギターとでは、それぞれのゲージに合わせて別の道具を使って溝調整をしています。

間隔は、見た目ですぐわかる部分です。
当工房では弦割りなんて呼んだりしてますが、各弦の幅の間隔ですね。コレもチューニングや弾き心地に影響している場合があります。

そして角度ですが、ナット部で弦は様々な角度がついてはいます。ペグの位置・ペグポストの高さ・ヘッドの角度など、理由は色々ありますが、そられらの角度に合わせた、溝の角度調整が必要であり、これも、チューニングなどに大きく影響しています。

では何故、新品状態にも関わらず、ナットは上記の条件を満たせず、適正ではない状態で販売されているのでしょうか?
正直なところ、一本一本を適正な状態で出荷していては、手間がかかり過ぎてやってられないからだと思います。
そしてそれは、大量に生産しなければならない人気のあるモデル・大手メーカー、海外ブランド、また、コストを抑えたい廉価版楽器に多くの見られるような気がします。
つまり、市場の多くの楽器がこのどれかしらに該当してしまっているという事です。(これは、僕が体験してきたなかでの確率であり、絶対的なものではありません。)
ただ逆に、非常に作りの良いメーカー・しっかりとした代理店さんの扱う海外ブランドなどがあるのも確かです。
つまり、新品状態でも疑うべき楽器があるという事です。

ナット溝の高さが低過ぎ限界の状態であると、弾く際に弦が1フレットなどに当たり、開放を弾くとビビリ音がしたり、弦がフレットを削っていってしまいます。
ですので、当工房に持ち込まれた高さの限界をむかえているナットは、交換を勧めさせていただいております。
逆に、溝が高い場合は削る事で調整が出来ます。

消耗品なので、定期的にチェックをしていきましょ!

また、ナットについて、ネックの反りについてなど、ちょっとした事でも何か気になった方は、楽器持って気軽にお店に遊びに来て下さい。
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2015年06月24日

Chocolate Wah

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Chocolate Wah
最近では、様々な媒体でChocolate Electronicsの名前を目にする事も多いと思います。
続々とラインナップも増えているようですが、中でもこのワウはお奨めですねぇ。
踏んでみた第一印象は、遊びの無いのかかり具合ですね。ペダル操作にピッタリとついてくるワウ効果は、非常にウェットで絡み付いてくる感じもあります。
また、かかと側からつま先側までの可変の滑らかさは凄いですね。
使いづらいポイントや、こもる感じ、耳に痛い感じも無く、深めのワウ効果を狙ってもしっかりヌケ、音が埋もれる事がありません。
滑らかながら、Crybabyのケースを使っているので、しっかりとした踏みしろがあり、POTの可変幅をきっちり使い切る事が出来き、そのおかげで踏み加減次第で、浅めのワウから派手目な効果まで表現出来ます。
サイドのQコントロールノブや周波数を切り替えるSWも、感覚的に操作出来るのもプレーヤーにはありがたいポイントだと思います。
様々な部分で、非常にバランス良くチューニングされているペダルだと感じます。
ワウに多い、エグさなどで特徴を出すタイプではなく、優等生的な部分をきちんと形にし、しっかりとした“個性”と感じさせるこういったワウはなかなかないと思います。
一度踏んでいただければ “丁寧に作られている” という感じが伝わってくると思います。
http://www.chocolateelectronics.com/product_chocolatewah.ht
当工房でしか手に入らない、特注カラーのブルーです。
錦糸町店にて試奏可能です!
価格は¥36,720(税込み)
当工房デジマートページ
http://www.digimart.net/search?shopNo=4879


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タグ:販売
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楽器の管理について

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今月は、ギター・ベースの無料診断をやっていることもあり、状態をチェックしてほしいと持ち込まれる方が多いのですが、その中にあったGibson ES-345について。
見た目が最高にカッコいい一本でした。
が、フロントのボリュームにガリが。。。

楽器自体は、セミアコ・バリトンスイッチ・ステレオアウトのジャックという内容。
ホロウ系のギターは、基本的に電気系パーツ一つ替えるだけでも、回路すべてを取り出しての作業になるので、POT1つの交換でも、交換工賃がかなりかかってしまいます。今回のギターは、スイッチなどフル装備の個体なので、費用はさらにかかってしまいます。
今回は、何度かツマミを回していたらガリは取れたので、現状のまま様子をみるということになりました。

ホロウ系ギターは、電気部品がもろにホコリや湿気の影響を受けてしまい易いので、使わないツマミやスイッチが不具合を起こすパターンは非常に多いと思います。
ただ、正しく使っていれば、長く使っていける物ですし、そういったパーツ交換代は、フレットの擦り合わせなどの費用にまわせるのが理想だと思います。

ですので、ツマミはなるべくこまめに使う(回す)ようにして下さい。使う事で、POT内部の酸化を抑えられます。
また、トグルスイッチも非常にダメになり易いパーツです。スイッチは、弾かない間・保管時はセンターの位置にしておいて下さい。これでスイッチの接点の酸化も抑えられます。
後は、湿気・ホコリなどですが、人が不快に思うような環境(暑い・ジメジメ・汚い)には置いておかないようにしてあげて下さい。(この環境や保管時の注意点などは、また別の機会に書いてみたいと思います。)

単純なポイントだけですが、大きな費用の節約に繋がり、更には楽器の寿命にも繋がります。

ご自身の楽器で、何か気になる点がありましたら、お気軽にご来店くださぃ:)
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アーミングとチューニング


アーミングとチューニング
今回試しに、自分のストラトをわざと破壊的にアームを動かして、動画撮ってみました。。。
使ったギターは、6点支持のヴィンテージタイプのシンクロナイズドトレモロ、牛骨のナットに、フェンダーのFキーペグと至って普通の仕様。
シンクロナイズドトレモロって、いろいろなメーカーからリプレイスメントが出てるけど、実際自分で買って試してみて、個人的にはFender製が一番精度が良いなと思いました。
ただ、今回ちょっとやり過ぎて、アームが曲がっちゃったぁ。。。
でも、チューニングが狂う前にステンレス製のアームが曲がるってことは、通常使用では、まずチューニングは狂わないという事だと思います。
チューナーは、内蔵マイクで音拾っちゃったから、ちと感度が悪いですが、それを抜きにしても問題ナシだと思います。
Fenderは50年代に、この機構を完成させていたというのはホント驚き!
今回のギターは、ナット交換したばっかりなので、馴染んでくればもっと安定度は増すと思います。
何点かのポイントさえ押さえてある楽器でしたら、調整次第で高価なパーツ交換なしに、チューニングの安定度を上げる事は出来ます。
弦の張り方とかにも、ちょっとしたコツがあったりもしますしね。

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