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2015年08月11日

Mesaの日記:楽器のバランスを考えてみます。

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1つの楽器の音は、各部のバランスで成り立っています。
つまり、どこかが変わると別の場所も変化してしまいます。

今までも、フレット・ナットなどと弦高のバランスについてなんかを書いてきました。
フレット・ナットが消耗し低くなれば、弦高も変化します。
更には、日本の気候変化などによってネックの反り具合も変わるので、そこでもまた弦高は変化します。
そして、弦高の変化は、音のバランスも変化させます。

勿論、適正なバランスによってフレットのビビリなどが抑えられているので、そのバランスが変わればビビリが発生する事もあります。

多数の部品で構成されているギター・ベースは、各部の圧力や共振のバランスが音に影響を与えています。
ギター・ベースの中で共振していない部分は、ネジ一つとしてありません。
つまり、厳密にはネジの締め具合一つでも音のバランスは変わってきます。

そして、パーツ交換で音が変わるのは、元のバランスが何らかの形で変化する為です。

上記以外にも様々なバランスが合わさり、一つの楽器の音を形成しています。
楽器本体以外に、シールド・ペダル類・アンプと接続するものが増える度に、出音のバランスは複雑になってきます。

バランスを取るという事は、安定を手に入れる事かと思います。
しかし、多くの人がバランスを取るのでは無く、バランスが崩れない様に無理やり固定し安定を手に入れようとしてしまいます。
つまり、多くが足し算的に物事が進められていきます。

ピックアップ交換なども、そういった傾向の一つかと思います。

フレットの不良、ネックの反り、ナットの高さ、ブリッジの調整などを無視しピックアップ交換に取りかかる方は非常に多いです。
全体の8割位かもしれません。

しかし、上記の箇所を無視して、ピックアップ交換しようとしたところで、100%の響きが出ていない楽器で作業しても、楽器の響き自体は変わりません。
変わるのは電気的な部分でしかなく、楽器自体の鳴りが変わっていないので、実際には足し算すら出来ていないと僕は思っています。
だだ、電気的に交換前とは変化はありますので、そこのわずかに変化した部分で多くの人が満足したり、ピックアップについて評価しているのかと思います。

つまり、100%の力を発揮できないピックアップ交換では、ピックアップの代金分の音質変化を得れていないと僕は思っています。
コンデンサや他の電気パーツにも同じことが言えます。

当工房で、フレット擦り合わせが1番多い作業なのは、当工房に来る方はその部分を理解しているお客様が多いからだとも思います。
ただ、実際には、音が気に入らないからフレットの擦り合わせ・ナットの調整をしバランスを整えてみようと考える人は、殆どいないのが現状でしょう。

実際、ピックアップ交換にどれほどの変化を感じているでしょうか?
正直、僕はほぼ変わらないと思っています。
大枠は前述の様に、電気的変化は得られますので、変化した様に感じるかも知れません。
しかし、根本的なキャラクターは変わらないはずです。
楽器のキャラは、楽器本体のバランスが握っています。

音が気に入らないのであれば、先ずは根本的なバランスを疑うべきです。
廉価帯の楽器だから材がどうのや、ピックアップのグレードが低いからなどは後回しにするべき問題です。
様々な場所でこういった意見を耳にしますが、そう言った意見は、楽器のバランスを考えてみた後に初めて言える事だと思います。

そして、楽器購入で失敗しない為にも、試奏時に求められるものは根本的なバランスがどうかの見極めだったりします。
しかし、実際に吊るしの楽器はバランス悪いものばかりです。
なので、僕は購入を考える楽器があったら、その場で出来る範囲いじってもらったりします。(嫌な客だと思われているかもですね...)

基本的な流れは、バランスの取れた楽器がまずあり、その上にバランスを合わせたピックアップなどのパーツ類、それらに合うアンプなどの機材類が加わってきます。

しかし、多くの方がバランスの取れた楽器を無視してしまいます。
なぜなら、雑誌やネットの憧れのミュージシャンの機材紹介の記事にも書かれていない部分だからというのが1つにあるかと思います。

書かれているのは、使用している楽器のモデル名、材の名前、ピックアップの名前、ペダルの名前、アンプの名前などだけでしょう。
ネックの反り具合、ナットの高さ、弦高、ネックのセット角、ピックアップの高さ、各部の重量、各部のネジ類の締め付け具合、ブリッジのセッティングなどなどはまず記載されていません。

しかし、多くのプロの楽器はギターテクなりによってそういった部分がバランスを取るために調整されています。
そして、その調整されたバランスが楽器の音色を形ずくっている大本です。
更に言うと、そういった楽器の上に、記事に載っているピックアップ類が付き、記載のペダル・アンプ類に繋がれています。

そう考えると、リペアショップは一般の方向けのギターテクの役割もあるのかもしれません。

楽器自体のバランスが取れると、音質的にも安定するので他の機材のバランスの悪さの影響にも強くなります。
これは、自分のアンプなどの機材一式を毎回持ち出すのが難しくとも、バランスの取れたギターとお気に入りのペダル程度があれば、それなりの音でプレイする事が出来るようになるということだと思います。

実際、僕自身は楽器のバランスとペダルボードのバランスに重点を置いています。
なぜなら、僕にとって重い自分のアンプを毎回のJamやライブに持ち出すのはとてもとても大変な事だからです。電車移動であればなおさらです。まぁ無理です。。。

しかし、これらのバランスを取るようになってから、アンプは何でもそこにあるもので良いと思えるようになりました。
今では、自分のギターとボードがあれば、僕はジャズコでも、マーシャルでも、グヤトーンでも、CDコンポのスピーカーでも楽しくプレイ出来ています。
つまり、機材の制限があるアマチュアの方ほど、楽器本体のバランスは非常に重要だと考えています。

勿論良いバランスは、演奏内容にも良い影響を与えてくれるかと思います。
より自分のパーソナルな部分を引き出してくれるでしょう。

ただ、バランスを取る事が大切だと言っても、いきなりフレット擦り合わせでフレットを削ってしまうのは嫌だや、予算の都合でピックアップ交換だけでもしてみたいという気持ちも、僕もギター弾きなのでよくわかります。
なので、そういった作業ももちろん大歓迎です!!

まぁ実際には、バランスを取る為には時間をかけ、試行錯誤を繰り返すしかないので結構大変な作業ですしね。


今回は、こういった見方も楽器を楽しむ1つのネタではないかと思いダラダラ書いてみました。‬
タグ:Mesaの日記
posted by Mesa at 13:09| Comment(3) | 修理 / Mesaの日記
この記事へのコメント
以前に手持ちの安物を野平さんに持ち込み、基本コースだけやって頂きましたが持ち帰りビックリしました。
あんな安物でもハイポジの音がちゃんと出るんです。
バランスの大切さを痛感しました。
ありがとうございます。
Posted by at 2015年08月21日 19:11
また持ち込んでもいいですかね?
安物ですけど…f^_^;
Posted by 島田 直 at 2015年08月21日 19:13
>島田さん
バランスが上手くとれると、安いも高いも関係なく感じることがよくありますねぇ。
またのご来店お待ちしております!
Posted by 野平工房 at 2015年08月22日 11:51
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