
昨日、富里店のFacebook・ブログで良い音についての記事があがっていたので、僕なりに少し音の事を書いてみます。
良い音と定義される物は存在しないと言うのは同感ですね。
また、音を聞く経験などについても書かれていました。
僕もそこは大切な部分だと思います。
では、そもそも音ってどう聞こえているかを考えてみたいと思います。
以前も書いた事ですが、ギターの6弦の開放を弾いた時、人は何を聞いているのでしょうか?
この指一本で出せるEと言われる音にどれだけの情報量が詰まっているかを考えたことがあるでしょうか?
譜面にしてしまえば、たった1つの音符です。
Eの音と言ってしまえば、一言で終わりです。
楽器を触った事がない人でもすぐに出せる音です。
しかし、実際には物凄い情報量の塊だと僕は考えています。
ピックまたは指が弦と触れ合う瞬間のアタック音に始まり、弦の振幅の増え方、振幅の乱れ方、ピッチの変化、振動・音量の増加減衰の仕方、倍音の出方、サスティンの長さ、歪みののり方、ピッキングの強弱・ピックなどの当たる角度、面積、指の硬さなどに対しての変化、艶、ハリ、太さ、、、、
単純な項目をあげていっても6弦の開放の1つの音だけでもまだまだ出てくるかと思います。
また、そういった内容以外にも、多くの方がBB Kingなどが弾く1音だけを聴いただけでBBだと確信したりすることがあるはずです。
もちろん、他にも沢山そういった、誰が弾いているのかすぐに分かる1音を出せるプレイヤーはいます。
しかし、1音でなぜ誰のプレイか判別出来たりするのでしょうか?
そこには、誰がプレイしているかが分かるだけの情報量がつまっているからです。
そこには、プレイヤーのパーソナルな部分が詰まっているからです。
パーソナルな物や、精神論的な音楽の考え方が嫌いと言うプレイヤーさんを、僕はプロ・アマ問わず何人も知っていますが、その人達でさえも、良くも悪くもその人のパーソナルな情報が音には出てしまっていると思います。
色々な方と話をしますが、海外で生活し楽器を演奏した経験がある方とお話しをすると、音楽に求められるのはそのパーソナルな部分だという意見をよく聞きます。
僕もそうだと思います。
一時間会話をするより、一曲ジャムる方がよっぽど相手を理解する事が出来るということです。
そして、それは、それだけの情報量が音に詰まっているからでもあるかと思います。
外国へ行くと、言語以上の情報量を音は持っていると強く感じます。
ただ、それらの情報量をキャッチする感覚は経験でしか手に入らないと思います。
ギター弾きが、指1つで弾いたEの音を1弦ではなく6弦の開放だと感じるのも、以前にそれを聞いた経験がある、そして6弦の開放だという認識が自分の中にあるからだと思います。
BB Kingの音をBBだと思うのも、以前にBBを聞いた経験があるからです。
しかし、音の聞き方の感覚は、雑誌を見ても、ネットを見ても、誰に聞いても、どんなに知識・情報を頭に入れても身につきません。
もちろん、僕の書く記事を読んでも同じです。
自分で身につけるしかないんだと思います。
正直、とても時間のかかる作業ですし、それなりの高額な勉強代は必要なんだと思います。
つまり、高級機材を買う為ではなく、経験の為にお金と時間を使うということです。
しかし、同時にそれが楽器の醍醐味の1つなのだとも思います。
僕はその経験を得る為に仕事を辞め、外国へも行きました。(まぁ、それだけが理由ではないですが。)
そして、それに何ヶ月もという時間と数百万というお金を使いました。
でも、その価値は多いにあったと思っています。
良い音の定義があったら、僕はとっくにギターを弾くのを止めていたかもしれません。
そして、理想の音探しは一生続く物だとも思います。
経験は、頭の中のイメージをより具体的な物にしてくれます。
理想の音を求める気持ちはとても大切だと思います。
きっと、音楽もどんどん楽しくなります。